2016年2月11日木曜日

パワー理論から層理論へ

パワー理論とはこれまでの歴史そのものなのであるが、
経済、軍事的なパワーで相手の首根っこをつかみ支配するという
首根っこの掴み合いである。

これは自分の独立を確保するために必要であり、正に歴史を
通して理論・手法が淘汰・綜合(アウフヘーベン)されてきた。

現状は世界規模で覇権争いをしている段階だが、その後は
どうなるのか。
永遠に侵略し合いを繰り広げるのか、それとももはや侵略しよう
ものならやり返されて自滅するということが分かり切ってるので
つまり抑止力が相互に全世界に展開されて軍事的侵略は
起こりえない状態、軍事的均衡状態ともいえる状態になる
のであろうか。

パワー理論からすれば覇権を握ることが目的であり、それを
そのまま実践しているわかり易い例もある。
(必死に隠蔽しているようだが)
では仮に、いざ握ったとしてもやはり「その後」が見えない
のである。見えるのは、握った新天地を搾取するくらいである。
自国民を送り込みやりたい放題させて一時的にうるおい、
枯渇すれば次へ行く。なんら原始民とやってることが変わらない。

勝つことが目的であるから、「戦わずにして勝つ」や「詭道」
などの手法も生み出された。流動する自陣と他陣を俯瞰して、
全体をぬけめなく把握できれば勝てると。
確かにそうであろうが、それだけでしかない。
(独立を保ち侵略されないためにもパワー層では必要。
 ないがしろにするわけではない。)

彼らのやっていることはパワー理論だけを用いて盤上でゲームを
しているようなものである。
司令塔さえいればよく、コマは言ったとおりに動くくらいの
馬鹿であったほうが使い勝手が良いというわけだ。

世界規模で見ても個体・組織・・などはめいめいに活動している
わけであるが、パワー理論では覇権が強ければ強いほうが良いので
小さい組織同士が衝突して一方が制圧し、次に別の組織を取り込み、
ある程度の大きさになると衝突すれば共倒れになるので均衡状態に
なる。

パワー理論はパワー層で均衡状態になるために動作しているとも
言える。
では均衡状態になったら、ゲーム終了、めでたしめでたしと言って
盤面をひっくり返し、さぁまた一からやり直しとでもするのであろうか。
どうかそんな阿呆な知性しか持ち合わせない恐竜であったと後世で
指を刺されないで欲しい。

パワー理論はもはや、組織の独立を守るための古典理論と認識せねば
なるまい。

無論、生の確保は最も重要であるため、有史前の早い段階で
パワー理論が顕著になった。
しかし個々の活動にはそれ以外の方向性もある。
個々の活動はてんでんばらばらでもあれば、ある方向性を持って活動
することもある。
個人レベルであれば目標、修身など。
組織レベルであれば理念、方針など。

察しの良い方や過去の著書を読んでいただいた方は、もうお分かりであろう。
層理論とはパワー理論を超えて目指す方向を指し示す理論である。
パワー理論を超えてと言うか、パワー理論は層理論の上に
乗っかって活動しているのである。
故にパワー理論だけだと「その先」が見えないのである。

そして、層理論の土台はここで永く先人が培い、醸成して
来てくれたではないか。
(層理論という理論化に携われて私は本当に幸いである。)

これは私が言わずとも、パワー理論をもうちょっと活動させれば
必然的に判明することである。
その時に慌てふためくよりも方向を指し示す層理論があるに
越したことはないので体系化しておく。


勘違いされては困るので追記しておこう。
現状はパワー理論で成り立ってるので、パワー層でのせめぎあいを
緩めて良いということではない。
層理論は理想論ではなく、逆に原初に回帰する、血や肉や骨に
通じるものである。
あるべき方向性を指し示す理論である。
(それは、上記の例のように、例えばパワー理論でしか動いていない
せいぜい数世代だけのことしか考えてない輩に支配されて良いのか
ということを考えれば分かる。)
正しい方向性を持って正しいインテリヘンシアを持って、
必要があれば正しく勝ち、正しく存立していく。
「正しい」とは層理論で言う正しさである。
現状はパワー理論と層理論の区別がついてないので「正しい」という
ことがごちゃまぜになってしまっているため、極言すれば
洗脳も成立しうる。
(層理論で世界史を見直すと一本の筋が見える。過去の大戦もいずれ
再検証されよう。)

層理論で言うと、層理論さえ共有すれば現状の対立者さえも味方になりうる。
共有というか「知る」だけである。(過去にさんざん「文字が読めれば」
と言ってきたこと。)
再度この質問。なぜ相転換(層転換)は絶対者がいても防げないのか。
いくら情報を封じても「知る」ことで「恥」が生じ、それを例えば
点火と呼ぶならば、点火した以上はお偉方がこしらえた壁は越えられず
とも人を介して延焼していくからである。
(今回は珍しく上層から下層に染み渡る現象が見られるかもしれない。)



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